フランス東部ジュラ地方の田舎町アルボアで1900年に創業され、4代続くショコラトリー「HIRSINGER(イルサンジェー)」。
現在は4代目のエドワール・イルサンジェーが、代々親から子へと受け継がれた店の味を守っています。
ジュラ地方の食材を使用し、伝統と革新の技術によって生み出されるショコラは、アルボアのお店以外では、銀座店のみで入手可能です。
今回は春を食材を使用した4種のボンボンをいただきました。
①クアトロ
ツヤのあるビターチョコレートの長方形に真っ赤なルビーのようなジュレを乗せている。
プランタンセレクションと呼ばれる季節のシリーズ「春」バージョンは、ヴィヴァルディの「四季」の「春」をイメージしたもの。素材のテーマは苺。
ジュレの下は、ビターチョコレートのシェル、苺のマジパン、苺のパート・ド・フリュイ、苺のガナッシュの4層仕立て。1層作るのに1日かかるそうです。
苺の甘酸っぱい香り。
全体的に柔らかくモッチリとした食感。口に入れるとさっくりとしたマジパンの食感とともにアーモンドの香ばしさ、ジュレの濃厚な苺の風味と、パート・ド・フリュイのジューシーな果汁感にチョコレートが絡んでいく。
手の込んだ複雑味は、一度ではとても味わいきれない。
②スローフード
ビターチョコレートの長方形。
苺の甘酸っぱい香りに、ほんのりハーブの香りが混ざる。
薄いビターチョコレートのシェル。
中は2層になっていて、上層はうすいバルサミコビネガー苺のペースト、下層はビターチョコレートベースのアンテジット(フランスの甘草やハーブのエキスを凝縮したもの)ガナッシュ。
口に入れると、アンテジットの不思議なハーブ感にバルサミコの酸味が広がり、徐々に苺の甘酸っぱさが広がっていきます。
イタリア人が苺にバルサミコビネガーをかけて食べているのを見てこのチョコレートを思いついたそうですが、それが再現されています。
③森のリグリス
ビターチョコレートの正方形の上に、丸いドームが乗っています。
甘酸っぱいルバーブの香り。
薄いビターチョコレートのシェルは、極薄く、さっくりと割れます。
中は2層になっていて、上層はルバーブのコンポートで、キャラメルのような滑らかさとコンビチュールのような甘酸っぱさ。下層はジダの根のコンフィで作られたビターチョコレートベースのガナッシュ。滑らかでほんのりとした渋味がある。
甘酸っぱいルバーブの風味が前面に強く出て、ジダの根のガナッシュがそれを柔らかく包み込んでいる。甘すぎないフレッシュ感の残るルバーブのコンポートが見事。
④AFM
ビターチョコレートの正方形の上にドームが乗り、赤と黄色の点模様。
フランボワーズの甘酸っぱい香りに、ほんのりとマンゴーの濃厚な甘味が香る。
ビターチョコレートのシェルは、極薄くパリリとした食感。
中は2層になっていて、上層はドライマンゴーとフレッシュマンゴーを組み合わせた濃厚なマンゴーのコンポート。
下層はビターチョコレートベースのフランボワーズのガナッシュ。
マンゴーのコンポートがこれでもかっていうくらい濃厚なのに、一緒に食べるとフランボワーズが前面に出てきて甘酸っぱい。フランボワーズとマンゴーの珍しい組み合わせに、不思議なバランス。独特で、クセになる。
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