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Chocolate Editor

LIFULL/地球料理-Earth Cuisine-

食べることが地球のためになる、地球の新たな食材を見つけるプロジェクト「地球料理-Earth Cuisine-」。



このプロジェクトを手掛けるLIFULLさんの、間伐材、放置竹林に続く、第3弾企画のテーマが「カカオ」。

昨年「エコレート」という、カカオマスもカカオバターも使わない新しいチョコレートを発売しておりましたが、今回はそのエコレートの材料となった、カカオの廃材と言われる部分を使用したデザートコースのイベント。

チョコレートの消費量は上がっており、数年前にはカカオ豆が足りなくなるという記事も出ておりましたが、実際にはチョコレートの消費量が上がっているにも関わらず、カカオの市場価格はここ数年最低ラインを維持したままです。

その理由はいろいろありますが、LIFULLさんの取り組みとしては、チョコレートの原材料となるカカオ豆以外の部分も食材として利用することによって、カカオ農家の貧困問題の解決につなげたいというものです。

今回は、「unis」のシェフパティシエ・江藤英樹さんと、2014年ワールド・バリスタ・チャンピオンシップの優勝者・井崎英典さんの豪華なペアリング。

お二人がそれぞれのデセールとドリンクへの想いと詳細を語ってくださっていたので、少し補足と修正と編集を入れさせていただきつつ、体験を共有していただければと思います。

カカオしか詳しくないですが、コーヒーについても考えさせていただきました。



LIFULL 川嵜さん

「LIFULLの地球料理-Earth Cuisine-というプロジェクトは、捨てられている部分を食材として「食べる」ことで、新しいおいしさを発見し、すべてのステークホルダーが幸せになることを目指しています。

カカオの消費率は35%上がっているにもかかわらず、カカオの市場価格は最低ラインを維持したままです。カカオ農家の貧困問題はよく話題になりますが、その問題を解決するために、カカオの廃材に着目しました。チョコレートの原料となるカカオは、カカオニブ(カカオ豆)以外の約70%は捨てられています。カカオハスク、パルプ、枝、葉っぱ。(※実際にはパルプはカカオの豆の発酵に使用されるためすべてが捨てられているわけではないです)

その廃材部分を使うことでカカオ農家さんにお金が落ちる仕組みをつくることが活動の目的です。

また、カカオの木は、実が成らなくなるとすぐに伐採されてしまうのです。

今回はカカオが誕生してから、根付いて、息吹、実って、還元されるまでのカカオの一生を5皿のデセールとペアリングドリンクとしてクリエイションしています。」



江藤シェフ

「社会課題に取り組んだプロジェクト「地球料理」。今回はカカオの廃材をメインに使ったデザートコース「LIFE OF CACAO」は、カカオの一生を見つめ直すデザートコースになっています。カカオと言えばチョコレートですが、それだけではないんです。カカオの枝や葉っぱを食することはないかと思いますが、こんなところも食べれるんだよというところを知っていただければ嬉しいなと思っております。今回は食べることがカカオを守ることにつながる素敵なプロジェクトなので、ぜひカカオのいろんな部分をデザートで味わっていただければと思います。」

井崎バリスタ

「今回ドリンクを担当しましたバリスタの井崎です。カカオの廃材を使用してカカオの一生を表現する「LIFE OF CACAO」というイベントに招待していただきました。今回カカオの廃材を使用することがテーマなので、皆さんが想像するようなコーヒーは今回出てきません(笑)。なんで僕を呼んだんだという感じですが、カカオの廃材を使いながら、ただコーヒーの要素は出していきたいと思いましたので、コーヒーの廃材を使用したり、コーヒーで使われる抽出技法を使いながら、ドリンクを作っていくのがテーマの1つでした。

2つ目のテーマは、今回のドリンクはすべて水出し、コールドブリューで出しております。なぜコールドブリューなのかというと、コーヒーの二酸化炭素排出量、コーヒーの全体のサプライチェーンにおける一番カーボンフットプリントが重いのは“お湯を沸かす”ということなんですね。そのため今回のコーヒーではすべて水出しで出しております。」



【誕生】

Dessert:カカオパルプ/カカオハスク/カカオニブ/ブランマンジェ/ジュレ

Drink:カカオパルプ/コーヒーの蜂蜜/アールグレー茶葉/ディル/炭酸




江藤シェフ

「1品目は、ここから始まる切り替えの意味を込めて、ミネラル感、フレッシュ感のあるデザートです。下にブランマンジェがしいてあるのですが、カカオハスク、カカオニブから香りを抽出したブランマンジェです。その上にはカカオパルプのジュレ。最後にカカオパルプのソースをかけてお召し上がりください。」


井崎バリスタ

「カカオパルプを使ったスパークリングの食前酒をイメージして作ったものです。ライチやマスカットのニュアンスがあるので、シャンパーニュに寄せつつ、その中に酵母感を出すために、コーヒーの蜂蜜と、コーヒーの蜂蜜の中にディルとアールグレーをインフュージョンさせました。」



【根づき】

Dessert:カカオの枝/ムースカカオ/チョコレート/クランブル

Drink:カカオの枝/カカオニブ/チャフ/ジャスミン


江藤シェフ

「2皿目はカカオのパワフルなところを表現しました。カカオニブとカカオハスクを使ったムースショコラ。その上にカカオの枝のパウダーをつけたチョコレート。お皿にも枝のパウダーを振りかけています。カカオの芽吹き、大地に根を張っていくような、カカオの成長を見届けるようなカカオの一皿になっております。ドリンクと一緒にペアリングをお愉しみください。」


井崎バリスタ

「カカオの枝とニブを使い、コーヒーの廃材の中に、コーヒーを焙煎するときに出るチャフと呼ばれる薄皮の廃材があるのですが、それを一緒にコールドブリューにして抽出しています。薄皮は非常に香ばしく、甘味もあり、高品質なコーヒーであればあるほど、チャフも雑味もなく甘味があるので、それを使用しています。後味にジャスミンが残ると思いますが、ジャスミンもチャフと一緒にコールドブリューで抽出しています。ジャスミンはタンニン感を出すためです。これは江藤さんのチョコレートムースが、とてもチョコレートらしいデザートになっているので、そのスイートでビターな感じと合わせていくために、カカオのタンニン感をプラスして、後味すっきりで召し上がっていただくためのドリンクにしております。」 



【息吹】

Dessert:カカオの葉/テリーフカカオフィーユ/アイスクリーム/クランブル/チュイール

Drink:カカオの葉/ミルク



江藤シェフ

「今回は息吹ということで、カカオの葉っぱをふんだんに使用した一皿になっております。真ん中に、カカオの葉っぱを使用したテリーヌ、そこに葉っぱのパウダーを用い、コクを出すためにマスカルポーネを加えています。アイスクリームを添えていますが、北海道のグラスフェッドのミルクに、カカオの葉っぱのパウダーを混ぜて仕上げた、さっぱりとしたアイスクリームになっております。アイスクリームにのせているのは、カカオの葉っぱを模したカカオの葉っぱのチュイール。こちらは小麦粉を使わずに、カカオの葉っぱのパウダーのみを使用しています。その周りに、カカオの葉っぱをかたどって、葉っぱのパウダーを振りかけています。」



井崎バリスタ

「ドリンクは抹茶ラテならぬ、カカオの葉っぱを使ったラテです。今回はミルクブリューという手法を使用しています。今コーヒーの抽出方法の一つとして注目されているのですが、ミルクにコーヒーの成分を移行させているのです。つまりは水出しコーヒーの牛乳バージョンです。なぜ今回牛乳を選んだかというと、牛乳は油脂分をたくさん含んでいますので、カカオの葉っぱはとてもさわやかなグリーンの香りがするのですが、その香りをうまく移行させていくために油脂分の多い牛乳を選びました。香りはきちんと移るのですが、色合いとしてもっとカカオの葉っぱの色をダイレクトに感じてほしいと思い、上澄みにカカオの葉っぱを振りかけました。飲むときは混ぜてお召し上がりください。」




【実り】

Dessert:カカオパルプ/シャンティ/ソルベ/フランボワーズ/苺/カカオニブとハスクのエスプーマ/カカオの葉のクランブル

Drink:カカオハスクのコンブチャ/カスカラのシロップ/炭酸



江藤シェフ

「今回は、カカオに寄り添うフルーツも添えております。北海道余市のソウマファームさんの国産のラズベリー、埼玉県秩父のワドウ農園さんの「あまりん」という今一番おいしい国産の苺を今回使用しています。カカオと相性のいいベリーたちです。ベリーフルーツたちと、葉っぱのクランブルも中に入っています。真ん中にはカカオパルプのソルベ、一番最後はカカオのハスクやニブから香りを抽出したエスプーマで優しく包み込むようなデザートになっております。」



井崎バリスタ

「ドリンクはコンブチャです。皆さんご存じだと思いますが、コンブチャというのは酢酸発酵されたドリンクですが、今回カカオハスクでコンブチャを作っております。カカオハスクのコンブチャ自体は非常に旨味のあるコンブチャに仕上がっているのですが、そこにカスカラと呼ばれるコーヒーチェリーの外皮を乾燥させたものを、シロップ状にして使用しています。カスカラはだいたい廃棄されるか、堆肥にするかのどちらかなのですが、カスカラは煮だして飲むとローズヒップティーのようなお茶になるのですね。このローズヒップ感が、今回のデザートに使われているラズベリーやストロベリーと同じ香気成分を持っているので、とてもストレートなペアリングになっていると思います。」




【還元】

Dessert:カカオハスク/枝/葉

Drink:エルサルバドル・シェキーナ農園のブルボン種のコールドブリューコーヒー


江藤シェフ

「前回LIFE FULLさんと一緒に開発させていただいたエコレート・カレというものを最後にお茶菓子としてご用意しました。こちらは全く新しいチョコレートとして、カカオマスやカカオバターは一切使用しておりません。では何が入っているかというと、今回のテーマでもあるカカオの廃材のみを使用しております。カカオの枝と、葉っぱと、ハスク、それが30%入っている、全く新しいチョコレートになっております。最後は還元ということで、地に還る、そこからまた新しい芽が出てくるようにという意味を込めて、食べることでカカオに寄り添う、カカオを守る活動につながるクリエイションになっております。非常に面白いのでぜひ体験してみてください。(体験して食材としての可能性を感じていただけると、)私たちも、カカオに携わる人たちも喜んでいただけるのかなと思っております。」



井崎バリスタ

「最後は、みなさん見慣れた液体にはなっていると思います。最後はエルサルバドルのシェキーラ農園のブルボン種、現地ではサブライブルボンと呼んだりしますが、そのコーヒーをコールドブリューでご用意しています。なぜこのコーヒーを選んだかというと、このシェキーラ農園は僕らにとっての一番最初のダイレクトトレードを始めた農園なのです。このシェキーラ農園のコーヒーは、コーヒー自体に派手さがあるわけではありません。ただ、しっかり火を入れているので、比較的深煎りにはなっています。深煎りのコーヒーのチョコレート感を味わっていただきたいなと選びました。なぜチョコレートなのかというと、このエコレート・カレが、カカオの森をそのまま食べているような森林感があるチョコレートなので、あえてドリンクでチョコレート感を出したいなと思いました。コールドブリューに使われているお水もアルカリ性の強いお水を使用しているので、比較的、酸も落ち着いて、まろやかな味わいになっているかなと思います。」

カカオの枝、葉にとても可能性を感じさせていただきました。

それと同時に、料理人、バリスタのもつ技術は、想像を超えて可能性を拓いてくれるので、素晴らしいなと感動させていただきました。

衛生面と人体への無害が確保されるのであれば、これまで食材として意識されていなかったものの認識を変えてくれるきっかけになると思います。

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